アルカテルやBlackBerryはどこに?2019年に奮起してほしいメーカー:山根博士のスマホよもやま話

2018年のスマートフォン市場は大手メーカーの強さが増した1年でした。ガートナーやIDCなど大手調査会社のレポートを見ても、「その他」メーカーのシェアが年々少なくなっています。ファーウェイの躍進、シャオミの復活、OPPOとVivoの追い上げなど「大手」と言ってもそれは実質中国メーカーでもありました。

その一方で元気をなくしたメーカーもいくつかあります。2019年には奮起してほしいものの、もしかするとこのままフェードアウトしてしまうかもしれません。2018年に話題の少なかったメーカーを振り返ってみましょう。 1.アルカテル

2月のMWC2018で新しいスマートフォンシリーズの展開を発表しましたが、「IDOL」などのニックネームから数字だけの型番にしたことが製品特徴を失わせてしまいました。その後新製品は出ておらず、2018年は話題ゼロに終わってしまいました。親会社はTVが好調ですが、スマートフォンを手掛けるTCLコミュニケーションは自社ブランドのスマートフォン展開をあきらめる可能性も出てきています。

2.ブラックベリー

2018年もキーボード付きスマートフォン「KEY2」と「KEY2 LE」、タッチパネル端末「Evolve」と「Evolve X」の4機種を出すことで存在感をアピールしました。このうちKEYシリーズはTCLによる製造です(EvolveはインドのOptiemus Infracom製)。TCLが先に書いたようにアルカテルブランドのスマートフォンの展開に失敗した今、ブラックベリーは重要な製品となっています。2019年はキーボード端末の複数展開を行うことも考えられます。

3.Wiko

日本で新製品発表会を行ったのは1年以上前のこと。MWC2018、IFA2018でも新製品を出しましたが、カメラを強化したフラッグシップモデルがファーウェイやOPPOなど中国勢の前には霞んだ存在になってしまいました。製品品質も一歩及ばず、といった出来合いです。デザインで勝負してきた低価格モデルも飽きが見られます。MWC2019で発表される新製品の出来によっては、アルカテルと同じ道を歩んでしまうかもしれません。

4.Meizu(魅図、メイズ)

シャオミのライバルとしてハイスペック製品を送り出していたのはもはや昔の話で、低価格モデルが売れたために数を稼ごうと製品種類を増やしたことが全体の開発力の低下に結びつきました。2018年は製品を乱発し「X」「V」などモデル数が増加。売れない 次の製品をすぐに出す、の繰り返しで製品間の差別化にも失敗しています。2019年の先行きはあやうくなっています。ちなみに深センの一等地にあった店舗は写真のように撤退してしまいました。

5.Meitu(美図、メイトゥ)

美顔モードを備えた女性向けスマートフォンで成長を続けましたが、OPPOやVivo、そしてファーウェイまでもがセルフィーを強化してきたことでこの市場の競争が激化。シャオミと提携しスマートフォンの製造も委託するブランド貸与で生き残りをかける道を選びました。美顔アプリ「BeautyPlus」などは世界中にユーザー数も多く、サービスのマネタイズがうまくいけばシャオミから出てくるMeituのスマートフォンも再び注目を集めることができるでしょう。

6.Gionee(金立、ジオニー)

中国メーカー同士の競争激化ならまだしも、創業者のギャンブル使い込みという情けない理由で破産宣告を受けてしまいました。OPPO、Vivoを追いかけようとフロントカメラを強化した製品や、高級モデルを投入したものの、所詮は「二番煎じ」に終わってしまったようです。中国では老舗の携帯電話メーカーでしたが、ついに幕を閉じることになってしまいました。

7.Smartisan(鐘子、スマーティザン)

iPhoneのようなエレガントで高性能なスマートフォンをAndroidで実現しようとしてきましたが、品質問題もあり販売数は伸びず、2018年はサブブランドをメイン製品に置き替えるという荒治療を行ったものの効果はありませんでした。世界初の1TBのROM内蔵モデルも価格が高すぎました。アップルと同じ方向を目指したもののブランド力がなければ消費者はついてきません。従業員の給与未払い問題などもあり、2019年は市場から撤退する可能性もありそうです。

8.LG

ハイエンドスマートフォン「G7 ThinQ」や「V40 ThinQ」はグローバルでいまいちパッとした印象はありませんが、その下のミッドレンジモデルはプリペイド需要など価格に敏感な層に受け入れられています。低価格品でもさすが大手メーカーの製品だけあり品質は十分。スマートフォン市場からの撤退はないでしょうが、「ThinQ」という長ったらしい名前(同社のAIプラットフォーム名)をはずし、シンプルかつ魅力的な製品を出し再びサムスンのライバルになってほしいものです。